経営者の山を、バックオフィス視点から登る。CxO人材を目指す人に伝えたいキャリアの捉え方

経営・事業
2024.04.03
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ソウルドアウトグループでは、CxO人材を目指す学生を採用する地方事業家採用を行っています。採用後に、配属される財務・経営企画ディビジョン統括の伊藤俊介さんに伺いました。新卒で博報堂に入社し、バックオフィスからキャリアを積み重ねてきた伊藤さん。自身のキャリアを振り返りながら、バックオフィスからのキャリアを積むメリットについて聞きました。


~地方事業家採用~
地方を舞台に、最速で事業経営に関われる”CxO候補”採用を開始。将来的に地元の家業を継ぐ、または地方で事業を立ち上げることを志す方はもちろん、地方に眠るビジネスチャンスや事業を発展させていくことに興味がある方が対象となります。選考過程では、面接に加えて与えられた課題について双方でディスカッション等も行います。
https://www.sold-out.co.jp/news/topic_20231113

伊藤 俊介(いとう しゅんすけ)
ソウルドアウトグループ 財務・経営企画ディビジョン
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伊藤 俊介(いとう しゅんすけ)
1984年生まれ。2009年に株式会社博報堂へ入社し、経営企画局に配属される。その後、広告マーケティング実務や投資先企業のPMIとして大手企業に携わる。2023年、ソウルドアウトグループの社長室長として財務・経営企画部門に従事。2024年4月より、財務・経営企画ディビジョンの統括長へ就任。

予想もしていなかったコーポレート配属。バックオフィスから積み重ねてきたキャリア

――新卒で博報堂に入り、さまざまなキャリアを積み重ねて今に至る伊藤さん。まず、博報堂に入社した理由を教えてください。

きっかけは、大学・大学院時代に専攻していた行動科学に関する論文ですね。読んでいた論文の1つを書かれたのが、当時、博報堂の研究開発局にいた方だったんですよ。それまでは、大学院卒業後も研究者の道を進む方向で考えていたんですが、その論文を読んで、これまでやってきた行動科学の知識をベースにしながら、広告やマーケティングに関する仕事をする手もあるなと思い、入社を決めました。

そんな意識だったので、当初は、社会人を経験したあとに研究者の道に進むというキャリアも頭にあったんです。その論文を書かれた方も、のちに博士号を取って大学教授になっていて、私もずっと社会人として働くイメージを持っていたわけではなく、10年ぐらいで辞めるかなくらいの気持ちだったのですが、社会人の道を歩み続けています。

――博報堂に入られたあと、最初に配属されたのは経営企画局だったとのことですが、配属が決まったときの気持ちと、当時の仕事内容についてお聞かせいただけますか?

同期が120人ぐらいいるなかで、毎年5人くらいコーポレート部門に配属されるんです。まさかその中の1人になるとは正直思っていなかったですね。シミュレーションやマーケ領域の仕事をすることになるのかなと勝手に思っていたので。そこから大きく外れた配属だったので、最初の1、2年は本気で転職を考えていました(笑)

経営企画局に配属後は、業績管理や予算編成などの仕事を行いました。入社2年目で博報堂DYホールディングスに異動したあとも、グループ経理財務局主計部で同じような仕事をやっていました。

――転職も検討されていたということでしたが、当時の仕事には何かおもしろみを感じていましたか?

3つありますね。1つは、社長や役員の日々の会話や意思決定に至るまでの道筋を20代半ばという年齢で見られて勉強できたこと。もう1つは、経営に携わる上で基礎体力となる会計・財務に触れざるを得ない環境にいられたこと。実は、学生時代に投資銀行でアルバイトをした経験から、数字を避けたい気持ちが強かったんですよ。それでも仕事柄、逃れられない環境に身を置けたのは結果としては良かったなと。3つ目は、経営管理の視点から新しい広告の稼ぎ方や仕組みを大局的に知れたことですね。

――新人時代、何か印象に残っている失敗はありますか?

最初に担当した得意先向けのレイバーベスドフィーの計算ミスですね。営業が1人当たりどれぐらい稼がなければならないのかを間接コストも加味した上で計算する仕事だったのですが、計算ミスをしてしまって。。ただ、広告会社がコミッションビジネスではなく、フィーなど新しい手法でどうマネタイズするかというところを学べた側面もあって、そこは勉強になりましたね。
のちに広告・マーケティングの現場に異動するのですが、「行こう」と思ったきっかけの1つは、この失敗経験でしたし、今やっている業務にもつながってくるきっかけとなる仕事だったかなと思います。

――新人時代の伊藤さんは、どのようにスキルを身に付けていったのでしょうか。

他の部署と比べて人数が少なかったので、先輩や役員の人たちの背中を見て覚えていきやすい環境でしたね。早く自分の出来る領域を広げたいと思っていたので、与えられたタスクの周辺領域にも手を挙げるようにもしていました。理解のある上司・先輩だったので、経験できる機会も積極的に作ってくれたと感じています。

――当初は10年でアカデミックに進むことが頭にあり、入社後は1、2年で転職を検討されていましたが、やめずに続けてこられたのは何が大きかったのでしょうか。

元々、10年くらいで会社を辞めようと思っていた理由の1つは、いわゆるサラリーマン的な環境、会社というハコから離れたところにいきたいと思っていたからでした。ある意味、そのど真ん中に位置するところに行くことになってしまったわけですが、体験したことで、結果的にそこの仕事が自分に合っていたと感じられたことが大きかったかなと思います。

入社3年目ぐらいで、当時100社ぐらいあったHDYグループ全体の予算編成をやるチームで、全体感を見られたのも大きかったです。1、2年目に点でしかなかった仕事それぞれのつながりが見えてきて、解像度高く感じられ始めてから、仕事がおもしろく感じられるようになりました。

大きいことをするのが好きなところがあって、一つひとつを細かくやるより、どう伝播していくのかに興味があったのも、おもしろさを見出せるようになった理由ですね。

――会社というハコで仕事をすることに対しての気持ちの変化はどういうものだったんですか?

学生時代に想像していたよりも、いい意味でウェットな「最後は人と人」という経営の意思決定がなされているところを見られたことで、悪くないなと思えるようになりました。もっとデータ寄りで合理的、官僚的な判断がされているのかなと思っていたので。総合格闘技みたいに、人と人が全身を使って仕事をする印象が持てたのが良かったです。

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今ではなく、将来輝ける自分に向かってキャリアを積み重ねていってほしい

――今の仕事について教えてください。

財務・経営企画ディビジョン長として、ソウルドアウトグループ全体の予算や業績管理、管理会計の仕事をメインに行っています。

――地方事業家採用で採用された方は入社後、管理会計と経営企画が学べるバックオフィス部門に配属されると伺っております。バックオフィスというと、謎が多いお仕事だと思っている方もいるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

やはりWebマーケティング企業というと、営業で結果を出すような華々しいイメージを持たれるでしょう。ただ、会計や財務は企業の健康診断とも例えられる会社経営に必要不可欠な部分で、心と頭がやわらかいうちに経験しておくのは大切ではないかと思います。地方事業家採用で入社したあとは、財務・経営企画以外にも、経理や人事など、部門をいくつか経験していくことになりますが、そこで足腰を鍛えてから別の領域にチャレンジしていくのは、その後に何を経験するにしても大事かなと。

――どういった方が地方事業家採用に挑戦すべきでしょうか。

経営領域に興味がある方、いずれ経験してみたいと思っている方。あとは考えるのが好き、得意な方。経営数字ってなんだか難しそうと苦手意識を持つ方もいるかもしれませんが、どの領域でも大なり小なり数字が出てくることに変わりはないので、「数字と離れられない場所」だと感じる経験をするのもいいんじゃないでしょうか。

これは良し悪しではなく、経営者って営業畑出身の方と管理畑出身の方がいるんですよね。営業系の経営者は収益を上げて数字を作る考え方に長けていて、会計や財務、人事系の経営者は効率性や生産性と、ボトムアップの視点で考える傾向があると思います。同じ経営者という山でも登り方が複数あるイメージです。

どちらの登り方を身に付けるのかは興味次第ですね。私は、元々、企業勤めに乗り気ではなかったタイプなので、営業ゴリゴリの会社の採用は受けませんでした。進行管理やプロマネっぽいところに自分の持ち味があると感じるタイプは、会計や財務、人事からの考え方を身に付けるのが向いているかもしれません。

――最後に、伊藤さんから見た地方事業家採用後に期待できるキャリアパスをお聞かせください。

まずは、入社後数年で経営管理的な視点を身に付けられることは大きいでしょう。30歳までには自分の方向性をある程度決めていく必要があると思うので、それまでに経理や人事領域の視点があれば、いい意味で選択肢を多く持っておけると思います。

社会人になって3、4年で身に付けたスキルや仕事法は、その人のその後のキャリアに影響を与え続けると何かで読んだことがあります。石の上に三年は、自分のその後の人生において損ではないので、まずは与えられたことをしっかりやってみてほしいですね。私は、グループ会社への出向などの社外経験が多いので、転職してないものの今まで6社の経験があります。同年代のなかでは、持っている武器、引き出しが割と多めだと思いますので、一緒にお仕事ができる方には、そのいくばくかでもお伝えできるかなと思います。

あとお伝えしたいのは、広く長くキャリアを見ること。若いうちは単眼的になってしまいやすいんですが、そんなに焦る必要はないんですよ。長い目で見て自分がどういうことをしたいのか、どういう知識を得たいのかという観点から逆算してみたら、事業家採用コースは非常にアドバンテージのある道だと思います。

私自身、経営管理からキャリアスタートして良かったなと思えたのは30前半、半ばぐらいなんです。10年ぐらいしてから良さがわかってくることもあるのだと知っていてほしいですね。自分の人生が船だとしたら、右左の大きな進行方向だけ間違わなければ大丈夫。地方事業家採用を目指す方たちには、短期的な華やかな結果を求めるのではなく、10年後に自分が輝いていられるキャリアづくりを意識してもらえたらと思います。
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パンくず

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